<我流>
昔から気になっている我流の中に「ベー読み」というのがあります。吹奏楽ではBb管の楽器が多いのでどの楽器も実音の「ベー(ドイツ語でBbのこと)」を「ド」と読ませようというものです。
アルトサックスでは記音(楽譜に書いてある音)の「ソ」を「ド」、ホルンでは記音の「ファ」を「ド」、フルートや低音譜記号の楽器では記音(この場合は記音=実音です)の「シb」を「ド」と読ませている学校が今もあります。
ト音記号はどの楽器も普通に読んで、へ音記号だけ「ベー読み」という学校はもっと多いようです。どちらも学校で教えるのは問題があると思います。
小さい頃からピアノ等を弾いていて、楽譜の読み方を知っている生徒の中には「本当はこうだけどトロンボーンの時はこう読むらしい」と二通りの読み方を使い分けていると説明してくれた生徒もいました。でも、知らずに覚えて中学の音楽の試験で音名をみんな間違えたという子もいました。
こういう特殊な読み方をさせたからといって、特別に進歩が速いということはありません。先生が「ド」と言えばどの楽器からも同じ音が出るので指導が楽だという人もいますが、弊害の方がずっと大きいと思います。またトランペットと同じ指使いでユーフォニアムやチューバが吹けるという先生もいますが、それならブラスバンド式の移調楽譜を使うべきでしょう。
楽譜は一つの楽器のためだけにあるのではありません。その生徒が将来どんな楽器を演奏する時にも困らないように、まず標準の読み方を教えるべきです。そうすれば初めて指導する先生でも、楽譜の読み方で混乱することはないでしょう。