<音名>
この「シ♭(シフラット)」というのは伊英折衷の言葉です。「ド、レ、ミ、ファ」はイタリア音名(元はラテン語の、ある賛歌の各句の最初の音節 Ut、RE、Mi、Fa、Sol、La)ですが「フラット」は英語です。イタリアやフランスでは「フラット」のことを「べモール」というそうです。
アメリカやイギリスで「シーフラット」というと「C♭」になります。
でも今更、「シ・べモール」というのもいちいち説明が要りますね。「変ロ」と言っても生徒に通じないかもしれません。
実音を意味するものとして小学校でも当たり前のようにドイツ音名を使っている先生もいますが、ドイツ音名(Cツェー、Dデー、Eエー、Fエフ、Gゲー、Aアー、Hハー)が実音を意味するという決まりはどこにもありません。
イギリスやアメリカでは実音でも記音でもCシー、Dディー、Eイー、Fエフ、Gジー、Aエー、Bビーと呼びます。
楽器名等は英語を使っているのに音名だけ小学生には全くなじみのないドイツ語を使う必要はないでしょう。
例えば編成も楽譜もイギリスのものを使っているブラスバンドでE♭(イーフラット)コルネットをエス・コルネットと呼ぶのは違和感がありますし、吹奏楽でも楽譜にB♭(ビーフラット)と書いてあるのをわざわざ「ベー」と読むのも変です。
そういえばトランペットの高いドのことを「ハイ・ベー(ハイ・ツェー)」という人もいますが「ハイ」は英語で「ベー」はドイツ語です。「ハイ・ビーフラット( high B♭)) 」か「ホッホ・ベー(hoch B) 」にして欲しいものです。
今でもコードネームのAm(エーマイナー)やCm(シーマイナー)を「アー」マイナーや「ツェー」マイナーと読む人がいますが、ドイツ語ならイ短調は a moll「アーモール」、ハ短調は c moll「ツェーモール」です。
エスの意味がわかってないらしく楽器のケースにSコルネットと書いてある学校もありました。その先生にとってはB♭コルネットはMコルネットということなんでしょうか?
今、先生や生徒にとって一番なじみがあるのはドレミファにシャープ・フラットを付けたド・シャープやミ・フラットという呼び方でしょう。でも日本式の読み方として上記のことを理解したうえで使ったほうがいいと思います。