<ロングトーン>
ロングトーンは大切だ、ということはよく聞きます。でも目的がわからないまま、長い長い音を吹き続けるのは誰にとっても苦痛でしょう。
何のために、何に注意してロングトーンを練習するのかを何度も十分に説明しないと退屈な練習になってしまいます。
ロングトーンは管楽器では息とアンブシュアを安定させるためにとても大切です。息とアンブシュアが安定すれば音色や音程も安定します。
音色に注意して毎回の練習の中に必ず入れるようにしてください。
音色に注意するためにはまず静かな音量で自分の音を聞きながら吹かないと意味がありません。
音色ということに意識が向けば時間の経つのを忘れるほど集中できるでしょうが、小学生の場合はロングトーンとしては2〜3分が限度かもしれません。
それで、ほとんどの小学校や中学校のバンドではロングトーンを兼ねて4拍や8拍ずつ音階を吹いたりしています。でもそれが効果的な練習になっているのかどうかは疑問です。
私の聞いたバンドのほとんどはこの練習の時の音量が大きすぎます。
四分音符60のテンポで、4拍ずつの音階(全音符の音階)なら音4つ(16拍)を一息で、というくらいの長さの目安をもって練習してはどうでしょうか。初めは音一つ、次に二つとだんだん延ばしていきます。そのためにはきっと音量を小さくしなければならないと思います。
音が大きいと全体の響きで個々の音色が聞きにくくなり、音の間違いにも気づかない場合もありますが、静かに音が響いているといった状況では音色の問題がはっきり聞こえてきます。
もし合奏の時間にロングトーンを入れるならぜひ音量に注意して練習してください。また、音が長く伸びない生徒には、音を出す前にゆっくりと少しでも多くの息を吸うように指導してください。息を出す方をがんばっても意味がありません。
また、8拍とか16拍だけで終わらずに、20拍かそれ以上も試してみてください。小学生でも30拍(30秒)伸ばせる生徒もいます。体の大きさにも関係しますが、どれだけ深く息を吸えるかが一番の問題です。
ある中学校でチューバのパートが8拍のロングトーンばかり練習しているので、16拍は?と聞いたら、「チューバの先生に8拍の練習をしなさいと言われた」という答えが返ってきました。どんな練習でも「その時点で何をすべきか」と同時に「これが出来たら次はこういう練習をするべき」というところまで教えるべきだと思います。
足下をしっかり確かめながら遠いところも見て練習しないと、生徒には楽器の練習の全体像がつかめないでしょう。
木管の場合は最低限アンブシュアが安定すれば、スラーで音階(一つ一つの音を長く延ばさずに四分音符や八分音符で)の練習を始めたほうが早く楽器に慣れるのではないかと思います。
金管楽器でもスラーでゆっくりとトリルのように半音または一音違いの音を繰り返したり、三度程度の狭い音域の半音階を吹いて、口の柔軟性を付けながらアンブシュアを強くする方が楽しみながら練習できるのではないかと思います。
上の様な音形をそれぞれスラーで一息で何度も繰り返します。出来るようになったらテンポを速くしていきます。いろいろな高さに移調して練習して下さい。
ロングトーンの応用としてメロディを練習するのも大切です。
一人一人でメロディを吹く練習はどこでもあまり取り入れられてないように思いますが、音楽の基本だと思います。