<メロディ>


 どの楽器でもメロディを吹くことはとてもいい練習です。
 楽器を持ってすぐに合奏に入って伴奏のパートを吹くよりも、まずメロディを練習する方がずっと楽しくそれぞれの楽器に慣れることができます。
 ある程度楽器に慣れ、簡単なメロディなら吹ける、というメンバーが集まって合奏するというのが本来の姿です。
 例えば、クラリネットでも1番のパートがメロディを吹いていても2番3番はハーモニーや伴奏ということが多い様ですし、チューバなどでは曲の中でメロディを吹く事はめったにないといってもいいでしょう。
 歌詞を知っているメロディならその歌詞の一区切りまでは一息で吹くので、それに合わせて呼吸するようになります。また、声で歌うように楽器でメロディを吹くというのは、どのレベルの楽器奏者にとっても大きな目標です。楽譜に指定がなくても、メロディに合わせた自然な強弱を付けることで、より音楽的な表現が出来ることもわかってきます。
 簡単なメロディでもそれを音楽的に吹くためにはいろいろな技術が必要です。それを技術としてではなく音楽として身に付けるためにメロディを吹くことがとても役に立ちます。
 それとは別に、過去何十年以上にもわたって多くの人に美しいと思われて、歌い継がれてきた有名なメロディを知らないまま小学生が楽器を練習しているのはとても残念なことだと思います。
 子供が知らないのではなくて、指導者が教えていないのです。この頃は指導者が名曲を知らないことも多いようです。
 学校で使っている歌集等に出ている耳慣れた曲ならすぐに吹けるでしょう。
 ピアノの伴奏で一人ずつ好きなメロディを自分の楽器で吹くというのも楽しい経験になりますし、大切な練習にもなります。
 一般に童謡等はトランペットなどの金管楽器にも無理のない音域で書かれていますし、木管楽器では1オクターブ上下させて練習することもできる場合があります。
 他の楽器と合わせる必要はないので、それぞれの楽器にあった音域のメロディを吹いてお互いに聞く機会も作りましょう。

 ト音記号で書かれた歌の楽譜はたくさんありますが、ヘ音記号で書かれたものはあまり目にしません。
 次のページに、よく知られたメロディや知っていて欲しいメロディを低音譜記号で書いてみました。
低音楽器用のメロディ楽譜

 覚えているメロディを楽譜に頼らず、楽器で吹く事は耳のためにもいい練習になります。いろいろな調の音階を練習するよりも、あるメロディをいろんな調で吹く方が、面白くて、調性というものの意味が(ぼんやりとでも)分かってきます。耳のいい生徒にとっては簡単ですが、なかなか出来ない生徒もいます。
   練習中にチャイムが鳴ったら、そのチャイムの音程を楽器で吹くというのも楽しいかと思います。時々、学校で合奏中にチャイムが鳴ったら「このチャイムのメロディ、真似して吹ける?」と生徒に聞いてみるんですけど、すぐに出来たところはまだありません。
 そういう事を考えた事もなかったのだと思います。私が帰った後で、その学校の先生が同じような事を生徒にやらせていればすぐに出来るようになると思いますけど。
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