<トロンボーンのスラー>
メロディでも伴奏のハーモニーでも、スラーで吹くのはトロンボーンにはなかなか難しいものです。
トロンボーンではスラーでもタンギングしなくてはいけないことがよくあります(全部タンギングした方がいいと言う人もいます)。特に低い音域では替えポジションの可能性がほとんどないので、小学生だけでなくトロンボーンを吹く人全てにとって大問題です。
きれいなスラーで吹く秘訣はスライドの動きが速いこととレガートタンギングです。
スライドは、他の金管楽器のピストンが動くのと同じ時間でポジション間を移動するのが理想です。遠いポジションへ動く場合はなかなか理想どうりにはいきませんが、少なくともそういう説明をして意識を持たせる必要はあります。そのためにはスライドがスムースに動くことが絶対条件です。
凹みがあったりクリームの状態が悪くてスムースに動かないスライドの楽器では上手な人でもスラーのフレーズは吹けません。
スライドの動きが遅い生徒やまだ一つ目の音の間にスライドが動き始める生徒には下の図のような説明をしてみましょう。
長い音符の最後まで吹いて、次の音が始まる直前にスライドを移動させるという意識ができると思います。
レガートタンギングのことはあまり知られてないように思います。「タ・タ・タ」とか「トゥ・トゥ・トゥ」の代わりに「ル・ル・ル」とか「ドゥ・ドゥ・ドゥ」等のシラブルでタンギングします。
トロンボーンでスラーのフレーズを吹く時は何もしないとポルタメントになる場合があるので、このレガートタンギングでスライドを移動する瞬間のポルタメントを消します。
まず一つの音を延ばしてレガートタンギングの練習をして下さい。音を延ばしたまま「ルー・ルー・ルー」と舌を動かします。ちょうどピアノの右のペダル(サスティンペダル)を踏みながら同じ鍵盤を弾く時のような音になります。
これは他の楽器でも、同じ音程の音を軽く区切りたい時などに必要です。例えば「故郷」の最初の「うーさーぎー」の部分などを吹く時に使えます。
もちろん以上のことを練習する前にスラーで音が繋がった感じを生徒が知っていることが一番大切です。
きれいなスラーの感じを覚えるために同じフレーズをユーフォニアムで吹いてみてもいいでしょう。トロンボーンとユーフォニアムは管の太さやベルの大きさは違いますが、管の長さは同じ(同じ音域)で同じマウスピースで吹けますから時々持ち替えてもいいと思います。