<リード>
木管楽器の中でクラリネット、サックス、オーボエ、ファゴットのようなリード楽器では、練習の前にまずリードについて十分説明してください。
リードの状態を維持するためにも、その取り扱いの注意点などを生徒一人一人が十分理解していないと、傷んだリードでも平気で吹いていたりします。
クラリネットやサックスのリードの選び方、使い方にいろいろ誤解があるようです。
まず、薄いリードが鳴りやすいと考えて、薄過ぎるリードを選んでいる先生が多いように思います。逆に中学校等では厚いリードを吹く人がうまい人だと考えて、軽いタンギング等ができないほど厚いリードで無理をしているのも見かけます。アーティキュレーションのコントロールが出来ないようなリードではいくら音が太くても意味がありません。
リードの厚さは、マウスピースの先端の開き(下図)によってある程度決まってきます。
その範囲を超えて薄過ぎるものや厚過ぎるものは音程や音色、アーティキュレーションの点でいろいろと問題があります。
またマウスピースの開きの大きさはそのマウスピースの特性を決める大きなポイントで、例えば開きが大きいほど音量の変化を付けられるけれども音のコントロールが難しいというように、何かいい所があると必ず何か問題点もあります。
ですから最初は、いろんな面で中庸のマウスピースを選び、そのマウスピースの許容範囲の中でこの生徒にはこのリードが一番合うというふうに考えて下さい。
規格上は同じ厚さのリードでも、鳴りやすいものとそうでないものがあります。材料のケーンの繊維に密度のバラツキがあることや、削る時の左右の厚みのわずかな誤差などが原因だと考えられます。
ある程度吹ける生徒なら全部のリードを吹いていいものを選ぶのですが、小学校の場合は予算的にもなかなか難しいかと思います。
それでも特にクラリネットやアルトサックスの場合は、リードを1枚だけ渡してダメになるまで吹かせてから、次のリードに替えるというのはやめましょう。中学校でもまだそういうところもありますが、それではリードの善し悪しがいつまでもわかりませんし、一日の練習の間にもリードの状態が変わってアンブシュアも安定しません。
いつも一定した状態のリードを使うため(安定したアンブシュアを作るため)に、リードを一定の時間(20〜30分)で取り替える習慣を付けましょう。1日に40分から1時間くらい練習するなら2〜3枚のリードを用意して下さい。それ以上練習する時も3〜4枚のリードがあれば順に使っていけます。そのためにはできればリードケースを用意したほうがいいでしょう。
何枚かのリードを順に取り換えていくことでいつもある一定の抵抗感を保つことが出来ます。その中で鳴りが悪くなったものから新しいリードと入れ替えていきます。
最初に必要なリードの枚数は多くなりますが、短い時間で取り換えて使うので、それぞれのリードは長持ちします。
リードは自然のものですから一枚一枚違うということを最初から教えることが大切だという考え方もあります。でも、小学生が初めて楽器を持って、クラリネットの組立方を覚えて、指を覚えて・・・という時期に鳴らないリードでもう一つ負担を増やすのはどうかとも思います。
多くの先生にとってリード楽器でうまく音が出ない場合、生徒の吹き方に原因があるのか、楽器の調整が悪いのか、リードのせいなのかが分かりにくいものです。
最近では市販されている合成のリードの中にも十分使えるものがあります。湿度にも影響されませんし品質も一定です。
この数年間にいくつかの中学校でカナダやアメリカのメーカーのものを試してみましたが、小中学校の普通の合奏なら十分使えるという感想を持ちました。音質も気にならないというより音域、音量によっては違いがわからないという先生もいらっしゃいました。こういうリードも試してみてはどうでしょうか。
取り扱いに気を付ければ一枚で何年も使えますし、バリトン・サックスやバス・クラリネット用もBbクラリネット用とほぼ同じ値段なので、その点からも試してみる価値があると思います。